☆8/27(火)

和田山→生野→加西→加古川→西明石(泊)

 




 一夜明けて、再びお借りしたレガシイ(ツーリングワゴン?)を飛ばして生野の澤田モータース様へ。
 ひと晩充電している間、千種のと同じく、充電器(全く同じ型のマルチ充電器)が過熱してか、充電が一時ストップしていたとのことです。
 しかし、夜中に見回った澤田社長様が気付いて復帰させてくださったそうで、無事フルチャージになっていました。

 そして明るい空の下で、澤田社長様のミゼットII改の電気自動車をゆっくり見せて頂き、写真も撮らせて頂きました。
 タイヤはハイパーミニ用のブリヂストン製ランフラットタイヤ(両サイドを分厚くして、パンクしても潰れずにしばらく走れるタイヤ。そのため、ハイパーミニには スペアタイヤが積まれていません。ただ、固いので凸凹道での乗り心地はもう・・・・・・(絶句))に交換してあって、思わず親近感が湧いてきました。

 澤田社長様には次の「かさいエコ・ステーション」への経路などもアドバイス頂き、ナビのコース設定まで手伝って頂いて、ひたすら感謝!!
 名残惜しいながらも出発し、まずは北東方向へ引き返して、生野銀山の見学に出掛けました。
 途中、ガイドブックに出ていた「口銀谷(くちがなや)の町並み」を見物しようと思いましたが、上手く駐車場所が見つからず、車上から一部の古い塀などだけ眺め つつ、そのまま生野銀山へ。

 生野銀山……今は観光コースとなった、江戸時代から続いてきた歴史ある坑道は、その入口に近付いただけで天然の冷風が吹き降ろしていました。
 この暑い中、最初はクーラーかと思ったのですが、一年を通して中の気温は低いとのこと。ちょっと寒いくらいです。

 昭和48年に閉山になったそうですが、中には採掘現場の様子が、採掘当時の道具や掘削機械・トロッコ・等身大の人形とともに再現されていました。昭和から江戸時代 のものまであります。
 観光坑道を出ると資料館があり、まるで蟻の巣の様な、隆盛期の坑道全体の模型、そして三角に積まれた銀の延べ棒は圧巻でした。

 観光坑道が思いのほか長く、かなりの時間を食ってしまったため、澤田社長様おススメのルート――そのまま国道429号を北東へ進み、生野ダムと銀山湖のほとり を抜けるコース――は諦めて、生野駅付近に引き返し、そのまま南下して神崎北ランプから播但ハイウェイに乗ることに。

 現地に着いてから、初めての高速道路でしたが、2車線のみで追越車線ナシ。
 80km/hを超えると「電費」がガタンと落ちるハイパーミニ、あまり飛ばし過ぎない様にしましたが、制限80km/hのところを90km/h超で走っていても、後続車がグイグイ 迫ってきます……しかも相手は……観光バスでした(爆)。ガイドさんが立ってるのまで見えます。

 今回は残電量に余裕がないワケではないので、仕方なく100km/h超までスピードアップしましたが、お客さん乗せたバスがそんなにトバすなあああ!!(大汗)  まあ、次の場所での充電時間を少しでも短縮しようと、電気をケチってた私も私なのですが。
 しかし、間もなくバスはサービスエリアへと消えて、やがて道路も4車線に。左車線に移ると、誰もが追い抜いて行くと思いきや、新型マーチが1台、真後ろについてきました。ちょっと嬉しかった……。

 市川南ランプを出て、東の釜坂峠に差し掛かると、ダンプ1台とすれ違った以外は人っ子ひとり見掛けません。8月末とは言え、陽光がギラギラ照りつけます。  峠を越えて、南東方向に真っ直ぐ降りてくると、加西市下道山町の「かさいエコ・ステーション」こと工和自動車様に到着。

 まずはそそくさと充電に掛かってから、山本専務様ほか皆様にご挨拶すると、既に佐用の小林専務様から新聞の切り抜きのFAXが届いていて、記事の写真と見比べられて、ちょっと照れクサい感じに……。

 ここでも、充電中の観光の足にと、ダイハツ ハイゼットEV(大阪の「電気貨物自動車共同利用システム」 の実験で使用していた車両で、車体の花びら等のキレイなステッカー類も当時のまま)を用意していてくださいました。
 そして、山本専務様から解り易いイラストマップも頂いて、これでナビ無しでも大丈夫?!
 しかし……

「マニュアル車大丈夫ですよね?」
「はい……」

 勢いで答えてしまったものの、ちゃんとした公道でマニュアル車乗るのは教習所以来かも(おいおい)。

 あー、ハイゼットEVってマニュアル車だったんだっけ。ハイパーミニはオートマ、いや、そもそもギヤチェンジ自体がありません(モーターから減速機を1段通しますが、1速固定で発車から高速道路までカバーしちゃいます)。
 走り出しからトルク最大の電気自動車って、ギヤチェンジなんか不要でしょうに・・・・・・???(ガソリンのハイゼットと同じラインで作っているからそうなるんでしょうか?)

 「まあ何とかなるでしょう」……と史跡の北条石仏(五百羅漢)に向け走り出すと、セカンド発進OK(クラッチ合わせ不要)なのでスタートは上手く行きましたが、
「ガックン!」(ギヤチェンジが上手く行かなくて車体がグラリ)
「シュイーン!!」(クラッチを繋ぐ前にアクセル踏み込み過ぎてカラ回り)

などと、もうてんてこまい(爆)。
 これがガソリン車等ならカンペキにエンストしてた所でしょう。しかし、電気自動車にはエンストは起こり得ないのでした。ああ、電気自動車で助かった!!
 そして、のっけから道を間違えたりして方向転換もヒト苦労でしたが、悪戦苦闘の末、どうにか無事に五百羅漢のある羅漢寺の駐車場に到着したのでした(近辺ガイド)。

 境内には樹々が生い茂り、直射日光から少しは解放されましたが、缶ジュース飲んで一息つくと、奥へ進んで再び陽光の下、静かに佇む数多くの石仏を見て回りました。
 「あなたに似たのを探してみてください」――受付の年輩の女性に言われたものの、結局ナシかなあ?
 この沢山の石像、いつ、誰が、何の目的で作ったのかはハッキリ判っていないそうですが、ひとつひとつ違う顔をしていて、造りも素朴な感じで、何とも言えない趣がありました((加西市役所参照))。
 続いて徒歩で住吉神社と酒見寺(さがみじ)を参拝。
 恒例の大祭の時は大賑わいだそうですが、この時は平日の午後とあってか、清掃中の管理人さんぐらいしか見掛けず、閑散としていました。
(旅が無事に終わります様に……!)

 帰路はハイゼットEVの窓を閉めて冷房をかけてみましたが、結構よく冷えるので感心しました。
 ガソリン車等の様にエンジンの負圧は使えないので、家庭用エアコンと同じ電動ヒートポンプ使用なんでしょうけど(ハイパーミニもそう)。
 しかし、このハイゼットEVって、中にいると結構モーター音やインバーター音(?)が大きく聞こえます。あまりガソリン車と差異がないかも・・・・・・。

 観る所も観て、無事に「かさいエコ・ステーション」工和自動車様に戻ると、佐用の小林専務様から「次の神戸まで結構距離があるので、既に普通充電エコ・ステーション設置済みで充電器使用可能な加古川の栗山自動車さんへ行ってください」との伝言が入っていました。
 設置して間もないため、まだエコステの冊子上のリストや(財)エコ・ステーション推進協会のホームページ(http://www.eco-station.or.jp/)には載ってませんでしたが、距離的にも、普通充電エコステ巡りが目的の旅としても、願ってもない嬉しいお話です。

 ここで山本専務様も、最短距離でも信号が多くて混雑するという北条鉄道・北条町駅近辺を通る県道43号(高砂北条線)経由のルートよりも、東側の県道79号(高砂加古川加西線……ダムのある権現池の脇を通るルート)が良いと勧めてくださり、ナビのコース設定までしてくださいました。

 ここ「かさいエコ・ステーション」でも千種・生野のと同型の日本電池製充電器が過熱(?)によるエラーを起こして止まりましたが、加古川までならそれほど距離もなく、フルチャージまで待たずにとにかく発車しました。
 山本専務様のアドバイス通り、県道79号は信号も少なく快適な道で、ここでも両窓全開、気分爽快なドライブ。

 やがて、前のクルマが(私のハイパーミニと色合いはちょっと違いますが)同じ黄緑のモコになり、しばらくついて走ることに。車種自体が新しいせいもあってか、やはりピカピカの新車でした。
 まだ“ニッサンの軽”の2台並びは珍しい光景でしょう……しかも黄緑が2台。心なしか、その周囲だけが何か特別な空間になった様な気がしました。

 網引町(あびきちょう)で北条鉄道の線路を過ぎ、山陽自動車道のガードをくぐると権現池。意外と背の高い草木に阻まれて、水面が今ひとつ見えにくいのが残念!
 そして、長らくペアで走ってきたモコと別れて加古川沿いを進み、ようやく国道2号沿いの「エコ・ステーション加古川」こと栗山自動車工業所様に到着です。

 着いた途端に、先程の加西の山本専務様から、ドンピシャでお店に電話が入ってドキッ!!(スゴイ勘の良さ……)
 ここでも皆さん、にこやかに迎えてくださり、作業ピットの様子を映し出したモニターのある休憩コーナーで、アップルソーダ飲みながら一息つくことができましたが、実は昼食がまだだった・・・・・・。もう夕方で腹ペコです。

 せっかく加古川まで来たので、ここはひとつ名物の「かつめし」をと、街の散策も兼ねてJRの加古川駅前まで歩くと、なかなかの距離がありました。
 栗山常務様が「クルマお貸ししますよ」とおっしゃってくださったのですが、長距離運転の後でしたし、街の様子をじっくり観察するには徒歩の方がよいと踏んだのです。でも、これは失敗だったか……?!

 まあそれはよいのですが、出掛けに右目にゴミが入り、いくらコンタクトレンズを洗っても、痛くて白目も真っ赤になり、つけていられなくなってしまったのです。そっちが問題でした。
 仕方なく外してティッシュにくるんで胸ポケットに入れましたが、そのまま駅前の定食屋さん(?)でかつめし食べ終わるまで引っ張るとは思いませんでした。
 このままレンズつけられないと、運転ができなくなってしまいます。想像もしなかったトラブル……。

 しかし片目ボケボケで食べたかつめしも、その味は極上でした。見た目は一見、カツカレーみたいですが、皿に盛られたご飯とカツの上に掛かっているのはデミグラスソース。
 昭和28年に地元の洋食屋さんで生まれ、今では加古川市内約20軒もの飲食店のメニューにあるそうです。
 また既に、地元の家庭でも定番メニューの1つらしいのですが、ナゼか加古川をちょっと離れると知られてもいないという“隠れた名物”(???)……いや、そこ特有だからこそ「名物」ですか。

 食後はどうにか目の方も落ち着いて、加古川駅前のスーパーの2Fにある喫茶店で「旅の窓口」にアクセスして宿の予約。
 神戸に出る前に「子午線のまち」東経135度線の通る明石は観ておきたかったので、その近辺を物色すると空きは1軒だけでした。でも当日限定価格(税別サ込)\5,000を切る価格……これはラッキー!!と画面の予約ボタンを押して、その夜の宿の確保完了。
 また、翌日は神戸泊と決めてたので、ついでにあちこち探すと、あの六甲山ホテルが\8,000(旧館ツインの1人使用……通常価格\13,500)というのを発見、これも決めました。いちどは泊まってみたかったとこです。

 帰りは栗山常務様から「最寄駅」とお聞きした、加古川の隣りの宝殿(ほうでん←何か読み方スゴスギ……)まで電車に乗って、そこから歩いたら、歩けど歩けど着かなくて不安になってきました。確かに国道2号線伝いに歩いてるのに・・・・・・。
 ハイパーミニの中にはカーナビが付いてますが、離れると「地図がない」という現実を、判り切ってることながら改めて思い知らされました。
 ひょっとして、歩く方向を間違えたか?などと猛烈な不安が襲ってきた頃、ようやく、栗山自動車工業所様の店舗が見えて到着。よかったあ!!

 助かった……(大汗)。充電も途中でストップしなかった様です。しかし、EVリモコンで充電状態をチェックすると、まだ80%ではありませんか!
 今度はクルマ側のエアコン強制作動(バッテリー冷却)が原因の様でした。

 マルチ充電器自体はやはり日本電池製で、今まで過熱エラーを起こしたものとよく似ていましたが、後から撮影したのを見ると、前面下部が大きく開いていて、排熱ファンの換気を妨げない形のカバーにマイナーチェンジされたものでした。
 判ってて改良したのなら、何で従来型をリコールしないんだ……と苦情の1つも言いたくなったのは、旅程最後の2日間になってからで、この時点では知る由もなかったのですが……。

 それで、この夜はエコステのない明石泊。宿泊中の充電は不可能です。そのまま明石市内を少し回るのも含めて、次の神戸まで持たせなくてはなりません。
 しかし、実はもう閉店時間は過ぎていて、栗山常務様お1人で待っていてくださったのです。充電スタンドはシャッターの中に入る位置に設置されていたので、そのまま無人で充電継続というわけにも行きませんでした。

 とにかく手荷物を積み込み、支度をして、最後の最後……EVリモコンの表示が“CHARGING BATTERY SOC 100”となったところで充電パドルを抜いて出発しました(100%表示になっても、完了まではそこから更に30分ぐらい掛かるのです……カラに近い時は1時間で4割も入るのに)。
 遅くなりながらも、快く送り出してくださった栗山常務様に、ただただ感謝(ほんと、申し訳ありませんでした)。

 そしてあたかも、TV「スター・トレック」シリーズのU.S.S.エンタープライズ号が、いつも番組の最後で、1つの冒険を終えてワープ航法で彼方へと飛び去るかの様に(?!)、我が“電動青りんご”も加古川ランプから国道2号加古川バイパスに乗ってスピードを上げ、一気に加古川を後にしたのでした。

 <i>「巡航速度ワープ7でヒメジ・ハリマ宙域離脱!! 目標、アカシ星系第1惑星ニシアカシ!!」こちらはETCでそのままワープトンネルならぬ第二神明道路に突入。それ行け〜〜〜っ!!!(←注:ハイパーミニの計器盤や窓ワクの形見てると、ホントにそんな気分になってきます)

 しかし、この日はもうエピソード終盤気分でいたのに、まだまだアクシデント(?)が残っていようとは……。
 予約した西明石ホテルがナビの「施設名検索」で見つからず、おおよその目標地点を定めて出発。その後「電話番号検索」を思いついて入力したら、全然違う「善柞」という名前が出てきたのです。

 電子地図の該当部分に「ホテル」の記号も付いてないですし、何かのマチガイか?!
 <i>「ここで座標を間違えて“宇宙の迷子”になったら、脱出できるだけのエネルギーは残されていないぞ」と(……ん?)、明石SAに入って、関東じゃ売ってるの見たことナイ「丹波高原牛乳」をすかさず買って飲んだ後、ホテルに電話してみました。

「ひょっとして、最近ホテル名変わりました?」
「は?ウチは西明石ホテルですが……」

 何かフロント氏を不機嫌にさせてしまった様ですが、合ってるんならとにかくGO!
 第二神明走行中、急にリルート(再探索)を始めてヘンなルートを示してきたナビは無視して、西明石駅最寄りの玉津ICで降りて市街地に入ると、無事にホテル前まで辿り着くことができました。

 で、珍問答の答え……「善柞(ぜんさく)」は西明石ホテル1Fの、ホテル直営居酒屋の名前でした。紛らわしい載せ方するなーーーっっっ!!パナソニック……じゃなくて電子地図作った昭文社!!(大苦笑)

 チェックイン手続き後、山陽新幹線の西明石駅舎の向こう側にある、ホテルの契約駐車場にハイパーミニを無事入庫(遠いなあ、もう)。

 この夜、西明石駅前には店も少なかったので、電車で1駅、中心街の明石駅周辺まで出掛けてみました。
 しかし、港の方まで歩いてみたら、海産物関係の飲食店はどこも閉店後で、時計回りにグルリと駅前まで戻ってみると、電車で着いた時には開いてた駅前の飲み屋までが次々に閉店してるではありませんか!!
 ウーン、参った……。しかし「季節料理」だかの看板を掲げてた店がまだ開いていて、高いのかな?と思いつつ扉を開けて覗いてみると、割と庶民的な感じでひと安心。そのまま入店しました。

 「海産物」って書きましたが、そう、お目当ては言うまでもなく明石ダコです。メニュー見て「タコの天ぷら」(だったかな?)他を注文。
 すると、

「お客さんゴメンナサイ……タコ終わっちゃったんです」

 ぬぁ〜〜〜にぃ〜〜〜?!いったい今何て……?(絶句)。
 明石に来てタコ食べ損ねるなんて、ウケ狙ったってできない様な大失敗(く〜〜〜!!)。
 しばらく独りクサッて静かに飲んでましたが、もう1人の常連らしい男性のお客さんと、茶髪娘な店員さん、彼女のお母さんと思しき女将さん(?)(※店内は私とその3人だけ)の和気あいあいとしたお喋りを横で聞いている内に、いつしか話し掛けられて、私も喋り出していました。

 最初は黙ってようかと思いましたが、交通手段を訊かれたのをきっかけに、今回の電気自動車ドライブの話もしたら、結構興味を持って頂けて、あれこれ説明してる間に、沈んでた気持ちも明るくなって行きました。

 電機関連の企業の社長か役員らしい常連客さん曰く「ウチの会社でも燃料電池関係やってますよ」。
 こんな意外な巡り合わせも……!!

 「また来てくださいね」……そう、タコは次回の楽しみに取っておけばいいや(笑)。

 ああ、それにしても何て長い一日だったんだろう……なんて感慨に浸る前に、ホテルへ戻る途上の明石駅ホームで、もう日付が変わっていました。